ロジカルシンキングのススメ
クラフでエンジニアとしてお仕事をしている小田です。
過去の経歴や年齢的なものもありますが色々なジャンルの職種の方に仕事上の課題や解決に向けてアドバイスを求められることが少なからずあります。
大体話を聞けば「答え」になるものはわかりますが、あえて「答え」を言わずに今抱えている課題整理のお手伝いをし各自の中で答えを出せるようにしています。
そうすることで各自が持っている問題解決能力だけでも十分問題解決につながるということと、大事なことは「事実や根拠、事象の整理」や「思考する順序」であるということを伝えています。
そういった思考プロセスを「ロジカルシンキング(論理的思考法)」といいます。
ロジカルシンキング(論理的思考法)とは
「ロジカル」には以下の意味があります。
- 物事を体系的に整理する
- 物事に矛盾が生じないように筋道立てて考える
- 理論に当てはめていく
「体系的」とは、物事をルールに従ってまとめている状態を指します。つまり、物事をルールに従って「結論」と「根拠」に分け整理し、論理的なつながりを捉えながら物事を考えることです。
また、コミュニケーションの際にも「事実」と「根拠」を踏まえて話すことにより、聞き手にもわかりやすく、納得のできる伝え方となります。
「一般的に〇〇することが知られている」->「Aさんはいつも□□している」->「だから△△すべき」-> 聞き手「なるほど!」 |
そういった背景もあり、ビジネスシーンで非常に有効なスキルの一つとなっています。
ロジカルシンキングをすすめる理由
ロジカルシンキングは問題解決から課題の整理、コミュニケーション能力の向上など様々な場面で活用できるスキルのため、習得すると様々なメリットがあります。
分析力の向上
分析力とは、問題や事象を要素分解し、その構造を明らかにする力のことを指します。 ロジカルシンキングでは、物事の筋道が通るための原因や構造を理解しようとするため、問題や事象に対して「なぜそうなのか?」「どうなっているのか?」と考えますが、こういった要素分解や関係性を把握するプロセスが、分析力を向上させます。
問題解決能力の向上
ロジカルシンキングでは、複雑な問題や課題を分類し、因果関係や相関関係を見抜くことで原因を突き止めたり、解決に必要な要素を見つけられます。
場当たり的な解決策ではなく、複数の視点から分析された根拠から結論を導き出せるようになり、結果として問題解決能力が向上します。
コミュニケーション能力の向上
ロジカルシンキングを習得すると、伝達される情報の切り分けができ、受け取り側がすぐに理解できる結論に対する論拠を的確に伝えることができるため、論点のズレや事実と意見の違いが発生しにくくなります。
クリエイティビティの向上
ロジカルシンキングでは、論理的な根拠を探したり、筋道立った主張をするために、多角的に物事を捉え、整理し、言語化していく能力が身に付きます。そのスキルは、何かプロジェクトを進める際にディスカッションをする中で、新しい視点や価値、気付いていなかった重要なポイントを発見することに役立ちます。
ロジカルシンキングを鍛えるのにおすすめは?
普段から意識的にそういった思考法を持つというのも大事ですがもっと気軽に鍛える方法があります。
IT業界ではいろいろな業種がありますが、その中でもプログラミングというものは使えて困ることはない一つのスキルになっています。
プログラミングとは、コンピューターを使ってある成果を得るために、コンピューターの言語に沿って指示を与えるものです。では、なぜプログラミングで論理的思考力が育つのか?その理由はコンピューターに対しては論理的思考にもとづいて細かく正確な指示を与えなければ機能しないからです。
直接のプログラムではなくよくある開発現場の機能要件例で考えてみます。
機能要件
「VIP会員向けの新春セールの機能」を新規に開発する必要があり、ある特定期間のみ画面上の表示やメッセージを表示させる必要がある。 |
- ログインしていないユーザは会員価格および新春セールは対象外
- ユーザがログインしていれば「会員価格」を表示する
- 会員種別が「VIP」の場合のみ「会員価格」に打ち消し線を表示し、「新春セール価格」を表示する
- セール対象外の商品も存在するのでセール対象商品と対象外が同梱されている場合は「割引適用外の商品がカートに入っています」というメッセージを表示する
- ログイン済み一般ユーザの購入時は新春セール対象外なので会員価格で計算する
- ログイン済みVIPユーザの購入時は割引対象商品は、割引価格で計算し、対象外商品は割引なしの会員価格で計算する
プログラムを作成する時に「会員価格を表示する」「VIP会員の場合割引価格を表示する」「追加でカートに入った商品の状態に応じてメッセージを表示する」「割引結果を表示する」「購入ボタンが押された場合は決済処理を行う」など非常に細かい指示を行います。つまり、プログラミングとは論理的思考そのものであり、プログラミングを繰り返し行うことは論理的思考力を育てることと同義になります。
また、プログラミングの現場では何もかも計画通りに事が運ぶわけではありません。正しいと思っていたコードがエラーを起こすこともありますし、コードとコードの関係によって処理が正しく行われない場合もあります。プログラミングを学ぶことで、そうした問題と日常的に対面することで、問題へ対処するための論理的思考力も自然と養われます。
従ってプログラミングを学んで得た論理的思考力は、すべてのビジネスに通じる「自律的に考え、行動し、物事を解決していく力」が育つということができます。
プログラミングを学ぼう!
以上からロジカルシンキングを自然と使うことになるプログラミングはロジカルシンキングを鍛える上でも重要でIT業界では使えて損のないスキルです。
ちょっと文字数がオーバーしてしまったので、次回は「ゼロスキルで始めるプログラミング」について書きたいと思います。