【世界人権デー・障がい者週間】重度の障がいがある娘の父親として、会社経営者として思うこと

代表取締役 藤崎の育児・介護経験を背景に、障がい者雇用の「法定雇用率」を超える採用目標実現へ

現在クラフは障がい者雇用において法定雇用率(2.5%:当社の場合は3名)を満たしていますが、代表取締役の藤崎は日本の総人口における障がい者の割合(約9.4%)に近づけるべく、さらに増やしていきたいと話します。

毎年12月3日~9日の障がい者週間、12月10日の世界人権デーに際し、ダイバーシティ推進の取り組みとして、障がい者雇用について藤崎へインタビュー。父として、経営者としての想いを聴きました。

代表取締役の育児・介護経験と「当事者だからこそ」の気づき

クラフの代表取締役 藤崎は、第1子が低酸素性虚血脳症による脳性麻痺(障がい等級1級)を抱えて誕生したことをきっかけに、子育てと介護に日々奮闘しています。

ー父として、経営者として思うこと

藤崎:娘は3歳になりました。障がいの有無に関わらず全てにおいてサポートが必要だった新生児期に比べ、できることやできないこと、サポートしないといけないことがより分かってくる。それがこの数年間の率直な感覚です。

娘は機能不全のため手足が動かない状態で首もまだ座っておらず、立ったり歩いたりができません。視覚がなく目が見えないため、1回も目が合ったことがありません。聴覚は一番正常に動いている気がしますが、本人にしか分からない。当然、様々なサポートが必要になります。

今年第2子が誕生したこともあり、新たなスタイルで仕事と家庭の両立を図っています。日中は妻の支えが大いにありますが、夜は体勢を動かしたり気管の詰まりを取り除いたりといった介護対応のため、私が第1子と過ごし、妻が第2子と過ごす形で協力しています。

日中はリハビリ付きで預かってくれるサービスもあって、社会福祉の充実ぶりを当事者として初めて目の当たりにし、ありがたさを感じています。

自分が当事者になったのは偶発的なものでしかないと思うけれど、改めて障がいがある方をサポートできないかという想いは、父として、会社経営者としても一層強まりました。

リハビリや医療的ケア、必要な医療器具の補助など社会福祉が充実している一方で、民間企業にできることは何かを考えた時。雇用それ自体はもちろん、長く勤められる、活躍できる場をきちんと提供していくことではないでしょうか。

ー障がい者雇用について

藤崎:常用労働者に占める障がい者の割合は法定雇用率として定められ、事業主に義務付けられています。

一言では言い表せないほど、種別や等級、どのようなフォローが必要かは1人1人違っています。個別に最適なフォローをしていくことの難しさや大変さも事実として感じています。

創立から8周年を迎えたクラフでも、以前から障がい者雇用を行ってきました。

1人1人を見てフォローして、さらにそれを事業と両立していく。会社のメンバーとも議論しながら試行錯誤してきましたが、残念ながら採用しても定着に繋がらなかった経験もあります。

現在は3名の社員がそれぞれのキャリアを活かしながら違った役割で活躍してくれています。正社員登用にチャレンジし、徐々に役割を拡大しながらキャリアアップを目指している方。短時間勤務の制度も活用しながら社員が働きやすい労働環境の整備を行ってくれる方。それぞれにあったフォロー体制、活躍の場を会社としても用意しながら長く勤めていただくことを目指しています。

ー次の目標は「裾野を広げていく」こと

藤崎:ここ数年間で十分にモデルケースもできてきているので、より裾野を広げていく方に考えを向けていきたいです。一般的な障がいの等級としては働きづらいとされている方を雇用して、拡大していけるかどうか。次のチャレンジとして注力していきたいポイントです。

会社ができること。特に私たちにできること。クラフの場合は、PCが使えて、インターネット環境があれば在宅で仕事ができる。障がいがあっても活躍できる可能性は大いにあります。さらに言えば、技術的な好奇心があればより活躍の幅が広がります。

一方、自社だけで実現できることは限定的です。社会全体の課題として、各社、それぞれの事業の特徴を活かしながら1人1人に合った環境、フォロー体制で仕事に取り組めるよう会社の垣根を超え共同してやっていかなければなりません。

ただ、クラフでもう一歩踏み出して、雇用できる方、一緒に働いていただける方はもっといらっしゃると思います。そこは様々な支援団体とも協議を重ねて、積極的に雇用していく。雇用するだけが目的ではなく、活躍していただいて長く働いていただくところにチャレンジしていきたいです。

「法定雇用率」ではなく「国内障がい者数の割合」を目指す

法定雇用率は民間企業で2.5%。クラフは現在、法定雇用率に基づき雇用すべき人数(3名)を満たしています。

一方、厚生労働省の推計(2022年12月時点)によると、国内の障がい者の数は約1,164万6,000人で、日本の総人口における障がい者の割合は約9.4%となっています。(参照:人口動向_厚生労働省)

当事者として、それぞれに合った活躍の場を提供すること、フォローしていくことの難しさや大変さを感じた藤崎。その上であえて形式的な数字の達成に留まらず、社会の人口比に当社の障がい者雇用の割合を近づけていくことに挑戦していくことを目指しています。

誰もが自分らしく能力を発揮し、安心して働ける環境を整えることは、人権尊重の精神に基づく企業の重要な責務であるとクラフは考えます。藤崎の当事者としての経験と想いを原動力に、クラフは今後も「すべての人が自分らしく活躍できる社会」の実現に向けた取り組みを積極的に推進して参ります。

【会社概要】
社名:株式会社クラフ
代表:代表取締役 藤崎 将嗣
住所:〒880-0801 宮崎県宮崎市老松2-2-22 JR宮交ツインビルオフィス10階
事業内容:サイバーセキュリティ事業
コーポレートサイト:https://kraf.jp/
採用サイト:https://career.kraf.jp/