シンボリックな場所がアドバンテージに繋がる|Talk 後編|株式会社JR宮崎シティ黒川氏
前編では、株式会社JR宮崎シティの黒川哲代表取締役に「アミュプラザみやざき」の開業や「JR宮交ツインビル」の設立ついての経緯や今後への期待をお伺いしました。
後編となる今回は、2020年11月30日からJR宮交ツインビルの10階にオフィスを移転した株式会社クラフ(KRAF)へスポットを当てます。クラフの事業や移転に至った経緯、今後の目標などについて、藤崎将嗣代表取締役に伺います(以下敬称略)。
藤崎:まず、私たちの事業となぜ移転に至ったのか、その経緯をご説明させてください。私たちクラフでは情報セキュリティ事業に取り組んでいます。ホームページやアプリ、ネットバンキングといったWebサービスにおいて、セキュリティの脆弱性がないか「セキュリティ診断」を行うのが事業の中心です。
現在、従業員の人数は106名(2020年12月現在)を数えるのですが、今後300名規模の雇用を目指す上で、それだけの人数が快適に働けるオフィスの確保が課題でした。宮崎では中心市街地に大規模なオフィスが少なく、希望に見合う場所がなかなか見つかりませんでした。そんな中、今回アミュプラザ宮崎が開設され企業テナントを募集すると聞いて、いの一番で手を上げさせていただきました。
黒川:タイミングがとても良かった訳ですね。
藤崎:おっしゃる通りです。情報セキュリティ業界の現状として、セキュリティへのニーズはこの10年右肩上がりが続いています。一方で、それを担う人材の供給が追い付いていないのが現状です。私たちクラフでもこうしたニーズに応えるべく、人材を多く確保してセキュリティへの安心を提供していきたいという思いがあります。そのステップとして、大規模なオフィスへの移転はなくてはならないものでした。
宮崎の県民性として、与えられた仕事を丁寧に取り組んでいく実直さが挙げられるかと思います。これはセキュリティ診断において強く求められる資質の1つで、その意味では事業との相性も非常に良いと感じています。
黒川:素朴な疑問として、現在コロナ禍で働き方が在宅ワークへシフトしています。そんな中で雇用の拡大を目指すという目的はありながら、あえて大規模なオフィスへの移転を決断した狙いはどこだったのでしょうか?
藤崎:実はこの10年宮崎では、大手のIT企業が続々と進出する流れが生まれています。ITの強みは、時間と場所を選ばずに業務ができることですが、大手企業としても大都市で高いコストを掛けずに、地方に拠点を置くメリットが増えてきました。ワークライフバランスの意識の高まりも受けて、従業員が安心して心穏やかに暮らせる環境を提供できる点も強みといえます。
私たちクラフは宮崎で創業した地場企業です。今後こうした大手企業と競い優秀な人材を確保するには、企業のブランドイメージを高めていく必要があります。そこで「宮崎で一番のオフィスに入る」ことでブランドイメージを強くし、地域への認知を深めていくことも狙いにありました。
それから、私たちもコロナ禍の現在、在宅ワークを軸として業務を進めています。ただ、オフィスに集って仕事やプロジェクト進めるシチュエーションは、今後も残っていくと考えます。在宅ワークやソーシャルディスタンスオフィスという対策もしっかり講じつつ、一方で拠点となるオフィスをしっかり持っておこうと考えました。
黒川:なるほど。たしかに、さまざまな場面でアフターコロナのビジネス展望を見聞きする機会はありますが、こうした状況下だからこそあえて拠点を持っておくことが大切だというお話をよく伺います。シンボリックな拠点があり、そこからそれぞれのライフスタイルやニーズに合わせて仕事をする。ただ、一方ではすぐに集まれるオフィスも用意しておく。従業員が孤立しないように、あるいはコミュニケーションを深めるためにオフィスを用意しておくという視点ですね。
新しいオフィスに移転して、従業員のみなさんの反応はいかがですか?
藤崎:立地はもちろん(オフィスから中心市街地や海が一望できる)この景観に、皆さんとても満足してくれているかと思います。圧倒されるという表現ができるでしょうか。これ以上のオフィスはないと言えますね。
黒川:それは何よりですね。
コロナ禍の以前は、東京に拠点を置かないと始まらないというビジネスがまだまだ主流でした。しかしこの期間の流れを追いかけていると、アフターコロナの時代はその街の景色であったり、雰囲気であったり、住みたいと思う場所で働くことがスタンダードになっていくのではと感じています。その意味では、宮崎は本当に魅力的な土地になるのではないかと。気候も穏やかで、自然や食材の恵みに溢れています。暮らす人の人柄もとても温かい。
こうした働き方を選択できるスキルがある人にとっては、本当に素晴らしい環境が揃っているように感じます。
藤崎:本当におっしゃる通りですね。
私たちクラフでも、在宅ワークとオフィス勤務を組み合わせながらの約1年が経過しました。まだまだ試行錯誤の段階で、組織の力に甘えることなく、自立した個人を育てる仕組みを築いていかなければなりません。
新オフィスへの移転は、投資として現状の身の丈以上の環境を用意することで、自分達のリミッターを外すことができるのではないかと考えています。シンボリックな場所であることが、私たちのアドバンテージになると期待しているところです。
クラフの新オフィスは、アフターコロナ時代に対応した国内初の「ソーシャルディスタンスオフィス」を採用しています。感染状況にあわせてデスクの距離や導線を柔軟に変更することが可能。また、未経験の人材を効率的に戦力化するための研修ルームや、リモートワーク社員の止り木的な場としてのラウンジを常設するなど、従業員が快適かつ安心して働けるオフィス環境が整いました。
アミュプラザみやざきという絶好の立地環境で、地域や社会への安心をセキュリティ診断を通して提供していきます。