「届かないところに届ける」活動の輪を広げ続けていく|Talk後編 |ジャパンハート佐藤抄事務局長

先日クラフを訪れた、(認定)特定非営利活動法人ジャパンハート(以下、ジャパンハート)の佐藤事務局長(以下敬称略)。オフィス視察後にクラフ代表の藤崎との対談に臨まれました。

Talk前編では、医療とセキュリティにおける課題や両者の取り組み・理念などについて話しました。後編は、両者の接点のきっかけとなった取り組みや今後についてです。

ー社会課題の”見える化”の必要性について

佐藤:セキュリティの社会課題は見えづらいところがあると感じます。私は今回の視察や説明を経て、セキュリティ業界の人材不足やセキュリティ格差などの課題を初めて知り勉強になりました。

医療は日常生活の中で見えやすく、課題についてイメージしやすい方も多いと思いますが、セキュリティについてはまだまだ知られていないところがありそうですね。

藤崎:セキュリティは社会インフラの一部ともいえるかもしれません。誰からも感謝されないくらい当たり前に整備されているのがセキュリティ業界にとっての成功ではないかと思います。日本で水道の水が飲めるように、道路があるように、セキュリティもインフラとして浸透している社会を目指したいです。

一方で、知ってもらうことで支援の輪が広がる側面もある。セキュリティにおいても社会課題があるという現状について伝える活動をしていくことも、これから私たちが頑張らなければならないところだと思います。

ージャパンハートの寄付アプリ「1 TAP SAVE LIFE」へのS4の導入について

藤崎:今回、私たちの強みであるセキュリティでジャパンハートの活動の支援ができたらと、無償セキュリティサービスS4をジャパンハートの寄付アプリ「1 TAP SAVE LIFE」の開発工程に組み込みました。実際、S4を組み込んだことで見つかった脆弱性もありました。

安全性が担保された寄付アプリで支援者も安心して寄付ができたり、寄付されたお金が不正に抜き取られることなく活動に使えたり、セキュリティ対策に当てる分の資金を医療活動に使っていただいたり、S4を活用することで間接的にでも力になれたら幸いです。

佐藤:S4は、希望すればどの企業・団体でも導入することができるのでしょうか。

藤崎:もちろんです。お金や人・技術の不足などでセキュリティ対策ができない企業・団体は数多く存在しています。より多くの方に積極的にS4を導入していただいて、誰の手にもセキュリティがいきわたる社会を目指したいです。

佐藤:無償で多くの企業・団体に導入することはコスト的に可能なんでしょうか。

藤崎:利益は度外視して行っているプロジェクトで、民間企業の事業としては正直厳しい面もあります。ただ、セキュリティの格差を解消するという理念のもとこれからも広げていきたいと考えていますし、ジャパンハートでいう寄付のような構造もあります。

具体的には、大企業が有償でS4を導入し、中小企業の無償導入を間接的に支える仕組みになっています。こうすることで、S4の理念に共感してくれた方々が、誰の手にもセキュリティをいきわたらせる支援の輪に加わることができます。

その輪を広げていくために、S4を知ってもらう発信活動にも力を入れていきたいです。

ー今後について

佐藤:すべての人に届けられるのがいつになるか分からないけれど、活動の輪を広げ続けていくことが大切だと思います。私たちは医療、クラフはセキュリティの分野でともに取り組みを続けていけたらと思います。

この機会に限らず、今後も何か協力してできることがあると良いですね。

藤崎:クラフは「安心を提供する会社で在り続ける」を企業理念に掲げています。簡単なことではありませんが、実現に向けた取り組みの一環としてS4もスタートさせました。

1つのプロジェクトとして、今後も拡大させていきたいです。ただ、決して危機を煽る形で広げるのではなく、あくまで安心・安全に繋がる形で広げていきたいです。

佐藤:支援の輪を広げるためには、信頼していただくことがすべてだと考えています。そのためには、健康経営はもちろんのこと、活動を継続していくことや支援してくれた方々に活動の様子をしっかりと伝えていくことが欠かせません。

私たちの活動は対価交換という物での返礼があるわけではなく、「支援したい」という気持ちと私たちへの信頼で成り立っています。そのことは忘れてはいけないなと思いますね。

今後は、支援の輪を広げていくためにもっと自分事として捉えてもらえるような活動をしていきたいです。S4が導入されたアプリ「1 TAP SAVE LIFE」も、どんな子どものどのような病気の治療に使われるのか、いくら必要かを見える化しています。

今は日本の支援者に向けて作っていますが、より広げていくためにカンボジア国内の支援者に向けた転用ができないかなどの検討をしています。

藤崎:S4もベトナム語・英語対応を進めるなど、宮崎から日本、そして世界へとS4を展開していけるよう取り組んでいます。

リリースからまだ半年余りではありますが、国内外を問わず活動を継続されているジャパンハートの皆さんの背中を追いかけながら、セキュリティを届ける活動に邁進していきたいです。

医療とセキュリティどちらにおいても、全ての人に届けるのは簡単なことではありません。それでも、活動を継続することの大切さを感じているジャパンハートの佐藤事務局長とその背中を追いかけたいと話すクラフの藤崎。

クラフは、「安心を提供する会社で在り続ける」企業理念のもと、これからも全ての人に届ける活動を続けて参ります。