初任給は社長の自腹。クラフの創業秘話と、これから

クラフの創業メンバーとして、現在はエンジニア部門のエバンジェリスト的な役割を担っている小田さん。クラフのこれまでの歩みを語るにはこれ以上ない人物に、クラフの創業秘話を伺いました。飛び出したのは初任給にまつわる驚きのエピソード。創業後の歩みや、今後の展望についても伺います。

ーまずはこれまでの小田さんのキャリアから伺えますか?

小田:社会人になってから現在にいたるまで、30年間エンジニア一筋で働いてきました。最初のスタートはハードウェアのエンジニアとして、半導体の設計や開発を担っていました。当時はまだWindowsも一般家庭には広まっていない時代。まさにWeb業界の黎明期でした。

いわゆる半導体バブルに陰りが見え始めた頃、ハードウェアの業務効率を改善するために携わっていたプログラム開発がきっかけで、ソフトウェア業界へ転職します。ウェブデザイナーやウェブシステム開発をやりつつ、ディレクションや設計に取り組んでいました。

その後、情報系専門学校の先生を経て、前職のベンチャー系IT企業に転職しました。そこで出会ったのが、代表の藤崎です。

ークラフにはどのような流れで入社されたのですか?

小田:ちょうど前職を退職するタイミングで、ばったり藤崎と再会しました。お互いの近況を話していると「クラフという会社を起ち上げたから、いっしょに働かないか」と誘いを受けました。

ーその当時のクラフはどんな会社だったのでしょうか?

小田:当時はまだクラフという会社はあったものの、会社という「箱」が出来上がっただけ。どんな事業に取り組んでいくか明確なビジョンはありませんでした。ただ、藤崎との会話の中で、教育にも取り組んでみたいという話がありました。そこへ向けて資金を生み出していくために、力を貸してもらいたいと。幸いエンジニアとしてのスキルや、教育へ携わった経験もあります。それならば自分も力を貸せる。まずはいっしょに舟を漕ぎ出してみようと、入社を決意しました。

ー創業当時は大変な苦労があったとか

小田:創業当時はとにかくお金がなかった。何も事業に取り組んでいないわけですから、売上もゼロです(笑)オフィスもなく、藤崎の自宅で作業をしていました。そんな状態なので、給料をどう捻出するかという話になりました。結局、初任給は社長が貯金を切り崩して自腹で払ってくれました。

その後SHIFT SECURITYとのグループ化が決まり、セキュリティ診断事業を中心として会社が成長していきました。

創業が2017年11月で、SHIFT SECURITYとのグループ化が正式に決まったのが翌年の1月。最初の半年はリファラル採用を中心に、徐々に社員を増やしながら10名弱の少人数で業務を回していました。

ここでは、前職での経験が活きましたね。前職はEC系のWeb開発を担当していましたが、そのときは自分達でセキュリティの脆弱性をチェックする立場でした。脆弱性が見つかったら、今度は自分達で改修まで取り組むわけですから、相当な労力を要します。

ただクラフの場合は第三者として脆弱性をチェックし指摘する立場です。まっさらな目でサイトを診断し、改善点を報告する。改修作業がないので、コツコツと作業を進めていきました。同時に、第三者に診断を委ねるクラフの在り方は、前職の経験に照らし合わせても理にかなっているなと感じました。

ー社員はリファラル採用が中心だったそうですが、現在のような未経験採用はどのタイミングからスタートしたのですか?

小田:未経験の採用をスタートしたのは、創業から半年後です。ある程度仕事の量も増え、企業として人員を確保するフェーズに入っていました。ここで戸惑ったのが、未経験の社員に対しての教育です。

それまでの採用ではエンジニア畑で働いてきた人材を採用していたので、基礎的な教育は必要なく業務に関する指示を出せば大丈夫でした。エンジニア同士なので、専門用語や共通理解もあります。しかし未経験となると、まず専門用語が理解できません。横文字のカタカナが出てくると、まずそれがわからない状態です。肝心の教える側も、それを嚙み砕いて伝える術を持っておらず、教育フローの構築で躓きました。

社員もエンジニアが中心だったため、人事やチームビルディングといったスキルを持ち合わせていません。試行錯誤を繰り返しながら、社員を育てていく状態でした。

ー未経験に対しての教育に躓いたそうですが、それをどのように解決していったのでしょうか?

小田:まずは教育の際に躓いた事象を共有し、未経験だと「何がわからないのか」「どこに不安があるのか」を洗い出していきます。そうした蓄積とうまくいった解決策をまとめ、教育向けの資料を作成しました。

この資料の作成にはSHIFT SECURITYの手助けもありました。SHIFT SECURITYは仕組化や標準化のノウハウに長けており、効率的な教育体制の構築は彼らの得意分野です。

資料ができあがってからは、それまで個人で対応していた教育を集団向けに行えるようになりました。教育体制の効率化が図られ、事業が一気に安定していきました。

ー宮崎の県民性も教育体制を築くうえでの助けとなったそうですね

小田:宮崎の人は根が真面目。わからないことを理解しようする姿勢があります。学んだことを周りにも惜しみなく還元する。そうした県民性は、教育体制を築くうえでの助けとなりました。

クラフには「ヒトの助けになろう」というクレドがありますが、それが形になったのは、宮崎人の真面目さが大きいと感じています。

ーこれからクラフをどのような会社にしていきたいですか?

小田:現在はセキュリティ診断という大きな柱ができました。今後は、それに続く新たな柱を築いていきたいと思っています。三本の柱のように、新たな事業を育てていきたい。

そのためにも、もっとキャリアパスが明確な会社にしていきたいと考えています。未経験から入社したエンジニアにも多様な選択肢を提示できるようにしたい。クラフでキャリアを積めば、外の企業に羽ばたいても通用するような人材を生み出せる、そんな体制を築いていきたいですね。

ー小田さん個人としての展望はいかがですか?

小田:私個人としては、エンジニアの育成に注力したいですね。

どうしてもITという世界は未経験にとってハードルが高い業界です。企業も即戦力となる人材を欲しがります。ただこれは情報系の専門学校で先生をして感じたのですが、どうしても「学校の限界」はあるなと。学校はカリキュラムを定めて、それに沿って教育に取り組みます。一定の水準の知識を広く習得させるには適した仕組みですが、一方で時代の変化に柔軟に対応できず、卒業してすぐに即戦力になるのは難しいのが現実です。

そこをクラフで担っていきたい。お金を出して個人が学びにいくのではなく、働きながらお給料をもらいながらスキルアップしていく。実際に現場で業務に取り組みながらの学びは、「経験」として社員のスキルに結びつきます。入社してからも学び続けられる環境を、しっかり整えていきたいですね。

創業から5年が経った2023年4月現在、クラフのセキュリティエンジニアの数は130名を数えます。小田さんに伺った「初任給は社長の自腹だった」「オフィスは代表の自宅」という創業当初のエピソードから比べると、驚くべき成長スピードです。

しかしインタビュー中の教育体制の構築にもあったように、クラフは課題をしっかりと洗い出し、それに向けての解決策を模索。そうして生まれた最適解を仕組み化・標準化することで業務の効率化を図ってきました。こうした取り組みに徹底して取り組み続けた成果が、5年経った今しっかりと結果に表れていると言えます。

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